弊社の立場は明産株式会社殿の協力企業であり、明産の従業員の方々と一緒にマシンを製作する言わば外注業者です。
このような立場の弊社(私)に投稿の機会を与えて下さった明産殿に感謝しつつ、仕事とは関係ない話で恐縮ですが、私のバイクへの熱い想いを書いてみます。
①バイクは5感をフルに使う乗り物
私はバイク(オートバイの略称と解釈して下さい)が大好きです。触れると大火傷をしそうなエンジンやエキゾーストといったメカニカル部分を剥き出しに風を切って走る姿は、乗っていても見ていても爽快な気分にさせられます。バイクは5感をフルに使う乗り物です。
とは言うものの一見気持ち良さそうに見えるバイクも実は夏場は炎天下でヘルメットを被り、長袖のフル装備でとても暑く、また冬は風を切って走ること自体が気が狂うほど寒いのです。さらに雨が降れば濡れるし、トラックの後を走れば排気ガスで真っ黒。本当に気持ちよく走れる時期は実は1年の内のほんの短い期間しかないのです。
②過去のバイク、現在のスーパーバイク
日本の2輪史を振り返ると、1960年代後半、排気量750ccという国産大型バイクが誕生しました。ホンダドリームCB750です。いわゆるナナハン(ナナハンという言葉はこの時にできた)の誕生です。
1970年代にはホンダドリームCB750のOHC空冷4気筒に対してヤマハはDOHC空冷3気筒のGX750で対抗し、カワサキは国産車中最高出力を謳った2サイクル空冷3気筒のマッハ750やDOHC空冷4気筒の750RSで挑戦してきました。
これらに対してスズキは水冷式の2サイクル3気筒GT750やロータリーエンジンを搭載したRE5で2輪界の頂点を目指したのです。
今考えてみればこの年代のバイクはどれも個性豊かで各メーカーのエンジニアの熱いハートがバイクというものに形を変え、我々に訴えてきたように思えます。
最近のバイク性能と言えばエンジンが2万回転近く回るのにキチンとアイドリングがあり、リッターあたり200馬力出ているのに壊れず燃費が良く、この排気ガス規制が厳しい時代に規制をクリアしています。またフレーム性能も素晴らしく、市販のノーマル車両で300㎞/h超の速度領域まで達しているのです。まったく恐れ入る凄い性能だと感心します。まさにスーパーバイクです。
しかし最近のバイクは何かが足りない、何かが・・・
どれもこれも同じレイアウトのフレーム形式やエンジンレイアウトといったものでメーカーのエンブレムを見ない限り、どこ製のバイクだか判らないといった感じです。性能を追求すれば、よく似た構造になるのは理解できるのですが・・・
すべてのバイクがそうだと言う訳ではないのですがこれに近いものを感じます。
③バイクと私
バイクとの初めての出会いは、私が小学校6年生の時でした。年上のいとこに連れられバイク屋に行ったのがきっかけでした。今から37年前の話です。
このカワサキ専門店に置いてあったバイクこそ750RS(通称Z2)でした。いとこはショーウインド越しに「すごくカッコいいバイクやろ、俺は買うぞ」と言っていたのを覚えています。
しかしそんなに簡単に買えるわけがありません。彼は中古の2サイクル49ccの通称原付バイクしか手に入れることができませんでした。この時たまたま中古で売りに出されていたこの750RSを店の方の好意で跨がせてもらいました。この時の印象はハンドルが遙か遠く届かず、燃料タンクはちゃぶ台に見えたのを覚えています。
これ以来、私もこの堂々とした巨大な2輪車750RSの虜になってしまいました。その後このバイクに憧れ続けたまま社会人になり、金銭的な余裕もでき、ようやくこの750RSを購入することができるようになりました。ところが社会人になった自分の成長とは逆に750RSは型遅れの旧車となってしまったのです。中古の750RSを買って乗り回すことに意義を見い出せなくなったのです。
と言うわけで750RSをあきらめた私はこの後、ホンダ製のナナハンを新車で数台乗り継ぎ、その後ハーレーダビッドソンのローライダーという車種を購入してこれに約10年乗りました。

[以前所有していたハーレー。これに10年乗りました]
このハーレーはとても気に入っていたのですが、やはり750RSのことが忘れられず、ある日、妻に相談しました。妻の一言「そんなにほしいのなら買ってもいいよ」妻が仏様に見えました。
しかし2台のバイクを所有する余裕がないので思い切って腹を決め、次の日曜日にバイク買い取りセンターに来てもらってハーレーを売り払いました。そしてカワサキ750RSをフルレストア(再生新車)して売ってくれる店を訪ねたのです。それから待つこと7か月、私の元に750RSが来たのです。子供の頃の夢が遂にかなった瞬間でした。
④見ているだけのバイク
しかし現実は厳しかったのです。いくらフルレストアしたからと言っても基本設計が40年以上前の古いバイクに変わりはありません。振動はすさまじく、排気音もノーマルでありながら爆音です。走っているだけであちこち部品が外れて壊れました。
しかし37年間想い続けたバイクです。私の手で「スムーズに動く」ようにしてあげたかったのです。幸い若かりし頃バイク屋でバイトをしていた経験があり、メンテナンスには自信がありました。
こうしてようやく普通に走れるようになった750RSがとても愛おしく思え、現在に至るのです。
大して走りもしないのにメンテナンスは欠かさず、常にベストコンディションを保ったままピカピカです。
こうして書くと休みごとにバイクで走り廻っているように取られるかも知れませんが、現実は妻の顔色を伺いながらバイクに跨っています。日曜日の朝早く起きて走り出し、昼前には帰宅して昼食は家族と一緒にとっています。そのあと妻との買い物に付き合うのです。これを怠ると大変なことになるのであまり遠くへ出たことがないのが実情です。
こうして1年間楽しく乗っていたのですが、またしてもこの750RSに乗れなくなってしまいました。今度は私の右足が関節炎で動かなくなり、手術することになってしまったのです。
退院した後も2か月半は自宅療養を行い、会社や家族、それに廻りの人にも大変な迷惑を掛けてしまいました。その後仕事に復帰したのですが、私の右足は750RSに乗れるまで回復するにはさらに時間を要しました。
それから2年の月日が立ち、750RSは車検が切れたままガレージで今もピカピカで最高のコンディションのまま眠っています。月に一度はエンジンに火を入れ、ワックスを掛けて磨いてやっています。一緒に走らなくてもコイツがいれば幸せです。
とは言ってもやはりバイクは「走ってなんぼ」です。私の右足もようやく癒えたのでそろそろこの750RSの車検を取り直し、コイツと一緒に再び爽快に走り回りたいと思っています。M.E.

[750RSの図面を引いてみました。どうですか?]