先日、家の本棚を整理していて古い本を見つけた。「超エクセレントカンパニーDEC」という名の本だ。私の知り合いでDEC日本支社に勤務していた者から貰った本だ。DEC(Digital Equipment Corporation)は、今ではコンピュータの歴史書にしか登場しないような過去の会社となってしまった。しかし当時はIBMに次ぐ世界第2位のコンピュータメーカーであり、この本のタイトルのように超エクセレントカンパニーと言われて持てはやされた会社だった。保険会社かどこか忘れたが「女性から見た結婚したい男性が勤務する会社アンケート」にDECが1番で選ばれたことがあった。その理由としてDECは、時代の花形であり、給与も高く、アメリカ勤務や出張もあり、外資系にもかかわらず終身雇用や傷病補償など従業員を大事にする、といった理想的な会社であることが記してあったようだ。当時のDEC従業員は正に我が世の春を謳歌したことだろう。
しかしそうしている内にPCの性能が驚くような速さで向上した。DECの得意とするミニ・コンピュータの領域にまでPCが進出してきたのだ。DECも急いでPCを生産し始めたが「時すでに遅し」。ダウンサイジングとUnixの波に乗れなかったことがDEC衰退の原因だったようだ。
アメリカの本社では創業者のケン・オルセン氏が退き、経営者が交代した。しかし新しい経営者は会社を再建することよりもブランド・イメージの良い内に会社を切り売りすることに専念した。その結果DECはコンパックに売却された。そしてコンパックもやがてヒューレット・パッカードに吸収された。「毎週のように送別会があったよ」と私の知り合いは当時のことを話す。超エクセレントカンパニーと呼ばれていたことが嘘のようだ。
同じような話は最近でもあった。経営危機が騒がれていた日本航空が今年に入って遂に会社更生法を申請したという事実だ。日本航空もかつては就職人気の上位を常に占めていた。これも今では嘘のような話だ。
DECも日本航空も、さらにはいつしか表舞台から去った多くの有名企業もその凋落の原因はそれぞれに異なるだろう。日本航空のようにとても一言では言えないたくさんの事情を抱えた会社もある。それぞれの企業に属していた方々にとっては一従業員の力では如何ともし難く、その無念さが想像できる。
多くの人が言う通り、やはり「会社は生き物」なのだろう。その時代の環境変化に上手に順応して行かないと生き延びることはできない。そのためには将棋や囲碁の達人のように先を読む能力を高めて行くことが必要であり、また周りの変化を自社にフィードバックして軌道修正していく柔軟性も必要であろう。我々は何という難しい時代に生きていることだろうか。Y.S.

サイトマップ
