一昨年のことだが、会社の先輩であるCさんと一緒にスキーに行った。場所はCさんのホームゲレンデ、八方尾根だ。私はここには2回目だったが何せ広いスキー場なのでうっかりすると自分がどこにいるか分からなくなってしまう。特に2日目は相当な濃霧で、前を滑るCさんの後にぴったり付いて滑って行かないとリフト乗り場に辿り着けないような状況だった。
Cさんは私よりスキーが上手である。当然私は教えを乞うことになった。Cさんの指摘は的確だった。特に「突いた後のストック先端をもっと上に持ち上げないとダメ」の一言は、目からウロコものだった。
スキーは真っ直ぐ滑り降りるだけならまったくの初心者でも簡単にできる。しかしスキーにはターンが不可欠だ。ターンによって方向を変えるのはもちろんのこと、連続してターンすることによって滑り降りるスピードを制御する。
ターンは安全に滑り降りるための手段ではあるが、ターン中のあの浮遊感と板を制御している軽い緊張感がスキーの楽しさをもたらしている。ターンすること自体が目的にもなっているのだ。
そのターンだが上手くターンできるようになるにはかなり困難な壁を乗り越えなくてはならない。スキーは上体、つまり腰から上の先行動作で曲がって行く。したがって上体は常に前に前にという意識を持っていなければならない。それが結果的に板を引っ張って行くことになる(スキーにはいろいろなイメージの仕方があり、これは一例である)。
上体の先行動作に合わせて両手も前に前に出して行くことになる。そこで私はいつも「ストックは突いたらグリップを前に、突いたら前に」ということと「ストックのグリップがいつも視野内にあること」を心がけてきた。これは過去に上級者から教わった秘訣だ。
しかしCさんは「まだ不十分だ。なぜかな?」と言う。そして次の1本でそれを見事に指摘した。それが「ストック先端の下がり」だった。私は確かに常に両手を前に出すようにはしていたがストックの先端にまでは意識が行っていなかった。そのためストックがだら下がり、積極的に板に乗り込んでいる滑りになっていなかったようだ。
スキーは斜面に対していつも突っ込んで行く意識を持たないと安定した滑りにならない。ちょっとでも油断するといわゆる後傾姿勢になって板の制御が効かなくなる。そうすると雪面の変化や他人の接近に対してとっさに反応できなくなり、危険だ。ストックの先端をしっかり持ち上げてもっと雪面から離すこと、たかがそれだけのことが上達への一つの秘訣だった。奥が深い。Y.S.
写真は昨年、妙高杉ノ原でのCさん

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